劇場版 ドラゴンボール 神龍の伝説 戦闘力

DRAGON BALL THE MOVIES #15 ドラゴンボール 神龍の伝説 [DVD]


 -概要-

 劇場版 ドラゴンボール 第1作。1986年12月20日公開。

 果てしなくインフレーションを続けるドラゴンボール世界と戦闘力。ドラボンボールを巡り、数々の欲望が渦巻くことになる世界観、その初期段階。悟空の食欲はすでにインフレ気味だが、それとは別方向に食欲を働かせた者がいた。美食家グルメス王は、前に口にしたものよりも美味しいものしかのどを通らない。世界中の美味珍味を食い尽くし、餓死寸前となり、もはや神龍にすがる他なかった。ブルマと悟空と仲間たちは、グルメス王の「蝕」欲から世界を守り抜けるのか?

 アニメ本編ではレッドリボン軍編、ブルー将軍との戦いが始まった頃の作品。ピラフ一味と対決した第1期ドラゴンボール探し編がベースとなっている。レッドリボン軍編の要素も取り入れ、リメイクされた劇場版オリジナルストーリーだ。続く劇場版「魔神城のねむり姫」「摩訶不思議大冒険」は連作として見ることができる。




-グルメス王国の人々- 赤数字:公式数値 青数字:推定数値 紫数字:完全推定数値

〔参考戦闘力:地球人一般男性 5  女性 4  子供(10歳) 2  ミスター・サタン 6.66


パンジ 2(推定)

 グルメス王国に暮らす少女で、髪型顔立ちはジングル村のスノにそっくり。女の子らしく赤いエプロンドレスを着ているが、キャップをかぶり男の子のような元気のよさもある。狙撃の島で生まれた彼のように百発百中(?)のスリングショットを得意とする。本編同時期のストーリーにおけるチチのような役割を兼ねており、今作の鍵を握るヒロイン。戦闘力的には普通の子供だが、悪を許さない心、国を思う気持ちは人一倍強い。

 世界一高価な宝石「リッチストン」を、花も家も所構わず掘り返すグルメス王国軍。そんなグルメス王のやり方に大人たちでもおとなしく従う中、ひとり反感を覚え立ち向かった。チチがフライパン山の火を消すために芭蕉扇を求めたように、パンジも亀仙人を頼ろうとする。カメハウスのある南の島へ行く途中、ウーロンに求婚され、助けを求めたところに悟空とブルマが通りかかった。

 亀仙人には協力を断られてしまうが、ありがたい言葉(?)を授かり国に戻ることにする。「人は人同士助け合うもの。仲間と力を合わせてこそ真の願いは叶えられる」。パンジの気持ちは悟空たちに伝わり、グルメス王をこらしめることに成功した。美食に狂う怪物グルメス王に人の心と体と舌を取り戻させたのもまた、パンジの純粋な心遣いだった。


パンジの母 4(推定)

 ジングル村のスノの母親にそっくりで、ふくよかな女性。パンジが王国の作業員にスリングショットを撃つのを止めようとした。グルメス王の心無い圧制に苦しむ非力な民の一人。


パンジの父 6(推定)

 ヒゲ面で、屈強な山男という風体の男性。並の兵士なら片腕で投げ飛ばすことができるほど力がある。人の花畑を勝手に荒らす王国軍のやり方が気に食わず、上級兵士のボンゴに意見した。ボンゴと戦うことになるが、所詮は力が強いだけの一般男性。鍛え抜かれた兵士ボンゴにはケンカの駆け引きでも負け、一回も反撃できずに倒されてしまう。しかし、パンジの国を思う心は紛れもなくこの父親譲りのものだ。パンジの願いが通じ、人の心と体と舌を取り戻したグルメス王に、父は民を代表して叱責の言葉を投げかけた。


ボンゴ 9(推定)

 グルメス王国軍の上級兵士。ギニュー特戦隊のリクームみたいな顔立ちの巨漢。女上級兵のパスタと組み、実質的に王国軍の全てを取り仕切っている。花よりもリッチストンの輝きを好み、花畑だろうと人の家だろうと平気で掘り返す。ドラゴンボール捜索や難敵の対処など、自ら前線に立つことが多い。

 パンジの父(推定 6)を軽く打ちのめし、悟空(戦闘力 10)とも張り合うことができる。悟空にはやや押され気味だったが、何度やられても立ち上がる強靭なタフネスの持ち主。巨大化したグルメス王に踏み潰されてペラペラになっても生きていた。空中戦もお手の物で、狭い飛行機内に体を押し込んで見事に操縦する。筋斗雲に乗った悟空とも戦い、円盤状の飛行台(フライングソーサー)から巨大な六角棍をふるった。


パスタ 7(推定)

 グルメス王国軍の女上級兵士。オレンジ色のくせっ毛長髪で、赤いアイシャドウを引いている。ボンゴと組んでドラゴンボール集めをするが、ドラゴンボール自体に興味はない。リッチストンの赤い輝きに魅入られており、全てはリッチストン欲しさのための行動。王に取り入り王をたぶらかし、王の権力を笠に着てリッチストン採掘を推し進める。グルメス王を美食狂いの化け物にし、国を荒廃させた元凶の一端はこの女にある。

 様々な兵器の扱いに長けており、目的のためなら容赦なく冷酷に邪魔者を粉砕する。彼女自身の身体能力も高く、ヤムチャ(推定 8.6)の奇襲攻撃に反応し、正面からの攻撃もかわした。何事にも動じない鉄の心かと思われたが、変わり果てたグルメス王の姿を見て愕然とする。神龍によって国中のリッチストンが消失し、落胆しているところに悟空から金貨を手渡された。悟空の家から四星球を持ち出す時、代わりに置いたグルメス王国の金貨だ(フォークを持ったコウモリをあしらった金貨。GURUMESUという文字が刻まれている)。グルメス王が普通の食欲を取り戻したように、彼女の金銭欲も人並みに戻るのだろうか。


召使ロボット 3(推定)

 グルメス王に仕え、身の回りの世話をするロボット。何故か関西弁。楕円状の頭部と胴体から棒のような手足が伸びただけの、装飾性のかけらもないシンプルなつくり。唯一の飾りといえば、頭部から胴体にかけて上から緑・黄・赤と信号機のように灯ったランプだけ。押して倒したらすぐに壊れてしまいそうで、戦闘力のあるロボットにはとても見えない。

 グルメス王に最高級の料理を運んできたが突き返され、「やっぱあきまへんか」と機械的に返答した。ぼんやりと薄暗い王の間では、王の姿をよく見ることはできない。このロボットは、醜い化け物と化した王が自身の姿を他人に見られたくないがために雇ったのだろうか。これだけ質素でぶっきらぼうなロボットなら、グルメス王も確かに恥じ入るところはないかもしれない。



-孫悟空と仲間たち- 赤数字:公式数値 青数字:推定数値 紫数字:完全推定数値

〔参考戦闘力:地球人一般男性 5  女性 4  子供(10歳) 2  ミスター・サタン 6.66


〔孫悟飯じっちゃん 90(推定)

 原作やアニメ本編では「じいちゃん」と呼ばれるが、今作では「じっちゃん」と呼ばれている(「じっちゃん」は主に亀仙人に対して使用される呼称)。名前も亀仙人との関わりも死因も、劇場版ドラゴンボール三部作では一切語られない。しかし、悟空に四星球を遺したこの「じっちゃん」はやはり孫悟飯その人に他ならないだろう。本編では「女には優しくしろ」だが、ここの悟空には「弱い者いじめをしてはいけない」と言い残していた。


ブルマ 4(推定)

 原作本編では車で悟空をはねそうになっただけだが、今作ではバイクで悟空を本当にはねた(アニメDB第1話では急ブレーキを踏んだが間に合わず、今作のように悟空をはね飛ばしてしまった)。悟空の四星球が出会ったそうそうにグルメス王国の手に落ち、激しい追撃戦に突入する。ドラゴンボールのためなら命も惜しまないという勢いで、リッチストンに懸ける女兵士パスタといい勝負だ。本編よりも順応性が高く物分りがいいほうで、悟空を進んで味方に引き入れパンジにも素直に協力した。カメハウスに到着した頃には新しい衣装に着替えており、サービスシーンもウーロンにバトンタッチ。ステキな恋人という願いが叶えられず、代わりにヤムチャとくっついたのは本編どおり。


ウーロン 2(推定)

 変身幼稚園で女の先生のパンツを盗んで追い出されたスケベな子豚。森の中、巨大な赤鬼の姿で現れ、パンジにいきなり結婚を迫った。赤鬼から鉄人に姿を変え、本編ではレンガのところを大木倒しで悟空の力を試す。バキバキバキと倒れた大木と、それを成し遂げた悟空の力に恐れをなし、コウモリに化けて逃走。如意棒を口に投げ込まれ、落下した場所は盗賊ヤムチャの縄張りだった。悟空とブルマのおかげでヤムチャが去り、(とっておきの)カプセルワゴンに皆を迎え入れた。本編と違い逃亡を図ることなく、なし崩し的に悟空たちの旅に同行する。

 意外と事情通であり、ヤムチャや亀仙人のことも事前に知っていた。何かと皮肉っぽくブツブツと文句をたれるが、スケベがらみの餌には釣られやすい。ブルマのパンティをもらう約束で、ブルマの身代わりとなって亀仙人にぱふぱふパフパフして差し上げた。自分の胸をつついて喜ぶ変態であり、危険なグルメス王国入りに付き合ったのもその血が騒いだからか。飛行機を撃ち落とされるが城の中に潜入し、一つ目のたらこ唇オバケに化けて兵士を気絶させた。グルメス国に平和は戻ったものの、結局は骨折り損のくたびれもうけといった印象を受ける。くっついたブルマとヤムチャが喜びのダンスを踊っている横で、バカバカしそうに腕組みしていた。(神龍からギャルのパンティを手に入れることはできなかった)


ヤムチャ 8.6(推定)

 荒野、ではなく「森の大盗賊」として悪名高きハイエナヤムチャ。戦闘力は本編初登場時と同じく、8.6(ヤム)推定。空腹の悟空を狼牙風風拳で追い詰めるも、ジャン拳で歯を折られ、ブルマの姿を見て退散するのは本編どおり。亀仙人に悟空をやっつけさせてドラゴンボールを奪おうとしたのが本編と異なる行動だ。悟空が亀仙人を倒して名を上げようとしていると吹き込むが、悟空が筋斗雲に乗れたことでウソがばれる。またしても退散を余儀なくされたものの、悟空たちの話を盗み聞いてグルメス王国に乗り込んだ。

 城での目的はドラゴンボールだったが、リッチストンも上着の中に持てるだけ持っていく。硬いリッチストンが防弾チョッキ代わりとなり、パスタの銃撃を無傷でしのぐことができた。パスタのおっぱいを揉んで赤面し、守ったブルマから頬ずりされて再び顔を真っ赤にして悲鳴を上げる。極度の女性恐怖症は本編どおりだが、今のが強烈なダブルショック療法になったようだ。ドラゴンボールに頼らずとも本編より早い時間で女性恐怖症を克服し、ブルマというガールフレンドをつくることができた。


プーアル 1(推定)

 ヤムチャの相棒であることと、ウーロンとの変身幼稚園のくだりは本編と一緒。悟空との戦いで歯が折れたヤムチャは、本編では自分の手鏡で顔を確認した。しかし、今作ではプーアルが鏡に化けてヤムチャの顔を映している。ヤムチャに対し「女が好きには好きなんですね」とコメントするのは本編どおり。今作ではさらに、ドラゴンボール優先なのにリッチストンを持ち去ろうとするヤムチャにもツッコミを入れた。「お金も欲しいんですね」と言いながら後を追いかけ、城の中では不気味な化け物に化けて進む。同じく化け物に化けていたウーロンと鉢合わせとなり、ブルマとヤムチャが合流。最後には仲良く手をつないで踊るブルマとヤムチャの横で、自分も楽しそうに踊っていた。


ウミガメ 0.001

 本編とは違い松茸狩りで迷子になっていないため、カメハウスのある島で悟空たちを出迎えた。ヤムチャから悟空のウワサを聞いていたからか、悟空を見て怯えたくらいで後は本編どおり。筋斗雲を突き抜けて腰を打った亀仙人をいたわったり、亀仙人が筋斗雲に乗れない理由が分かって嘆いたりした。


亀仙人 120(通常時 推定)144(MAXパワー 推定)288(かめはめ波 推定)

 ウミガメがずっといたので、悟空たちとの出会いはカメハウスのある島となった。ヤムチャから、悟空が自分を殺して名を上げようとしていると吹き込まれる。悟空とヤムチャ、どちらの言い分が正しいかすぐにはっきりとすると、筋斗雲を呼んで試した。亀仙人自身が筋斗雲に乗れなかった理由は、ブルマのパンツが見たかったからではない。ブルマのパイパイをつつかせてもらいたかったからなのだ。身代わりのウーロンだとは知らずにパフパフを受け、幸せそうにゲッソリとやせた。

 絶頂ハッピーな亀仙人を襲う、突然の悲しみと沸きあがる怒り。ドラゴンボールを狙ってきたグルメス王国軍の潜水艦の攻撃で、カメハウスが全壊してしまったのだ。亀仙人は筋肉ムキムキのMAXパワー状態となり、怒りのかめはめ波(通常)を炸裂させる。潜水艦が放った全弾射撃ごと消し去り、武術の神・武天老師の圧倒的なパワーを示した。パンジはますます亀仙人の力を頼りにするが、亀仙人は自分は俗世間を離れた身だからと断った。(百年ほど前に海底で拾った三星球はブルマに渡すも、潜水艦の爆発から逃げ延びたパスタとボンゴに奪い去られた)


悟空 10(通常時 大全集など)15(不完全かめはめ波 推定)20(かめはめ波 推定)

 戦闘力は常人(5)の倍で、本編初登場時と変わらないだろう。ステンレス鋼のように鍛えぬいた体は銃弾を弾き返すのも本編と同じ。一方、かめはめ波の習得度、完成度は本編を超えた。本編でのかめはめ波の試し撃ちは、車を原形を留めて破壊する程度だった。しかし、今作カメハウスでの試し撃ちは、岩を粉々に吹き飛ばしている。対グルメス戦で放った二度目には、すでに完成された威力となっていた。(グルメスとの戦闘力差があるため、せっかくの完成かめはめ波も通用しなかったが)

 戦いの後、悟空はすぐに筋斗雲でグルメス王国から飛び立つ。飛び散ったドラゴンボール、じっちゃんの形見・四星球の行方を求めて。(ドラゴンレーダーも持たずに、しかも1年は石になっているとも知らずに。すぐにブルマたちの所に戻ってくることになりそうだが、とりあえず勢い重視で)

「じっちゃん、世の中広くておもしれえんだなー」

 本編とは異なる、悟空のもう一つの冒険は次章へと続く。



-VS グルメス王- 赤数字:公式数値 青数字:推定数値 紫数字:完全推定数値

〔参考戦闘力:地球人一般男性 5  女性 4  子供(10歳) 2  ミスター・サタン 6.66


グルメス王 15(通常〔?〕時 推定)30(巨大化暴走 推定)5(普通〔?〕の人間に戻る 推定)

 グルメス王国の支配者にして、美食狂いの食欲魔人。レッド総帥+兎人参化+ピラフ大王の立場に、ブヨンの姿とパワーを足したかのような存在。左目だけがギョロリと飛び出しており、偏った食欲を表しているかのようだ。体は常人の数倍の大きさはあり、ブヨンのようにブヨブヨで、イボガエルのようなイボイボがある。戦闘力も常人の数倍はあるだろうが、元は普通(?)の人間だった。

 きっかけは、リッチストンが発見されて財政が豊かになったことだった。それとともに、だんだん贅沢なものしか食べられない怪物になっていく。今まで食べた料理以上に美味い物ものしかのどを通らない体質になってしまったのだ。さらなる美食が必要なため、ますますリッチストンの採掘が推し進められる。王が大地を喰らい尽くすかのごとく、所構わず掘り返された国土は荒廃していった。ついには世界中の腕利きのコックの味でも満足できないようになり、もはや餓死寸前。ドラゴンボールを集め、神龍にまだ見ぬ珍味を求めるしか手は残されていなかった。

 ドラゴンボールがあと一つでそろうという時、グルメス王の空腹感が限界を超える。するとグルメス王はさらに巨大な怪獣となり、暴走を始めてしまった。悟空のかめはめ波(推定戦闘力 20 相当)の直撃を受けてもビクともしない。

 ドラゴンボールはグルメス王がピッコロのように飲み込んで腹の中に隠していた。本編と異なるのは、ドラゴンボールが生体に囲まれていてもレーダーに反応するということだ(あるいはグルメス王の特殊な体質がドラゴンボールの電波を貫通したのか)。グルメス王の腹の中にある六つのボールは、ブルマの持つ二星球と共鳴していた。ブルマは一か八か、グルメス王の口の中に二星球を投げ込んで神龍召喚を試みる。


神龍 200(推定)

 グルメス王の腹の中から光をほとばしらせ、城を破壊するほどの勢いで神龍が出現した。叶えた願いはパンジの「リッチストンなんかいらないから、わたしの国を元通りにして」。全てのリッチストンと引き換えに、荒れ果てたグルメス王国の国土に豊かな緑が甦る。グルメス王は神龍の叶えたパンジの願いの一環としてか、人間の姿に戻っていた。腹が減ったというグルメス王に、パンジはみずみずしいリンゴを一つ手渡す。それは何の変哲もないただのリンゴだったが、今のグルメス王にはこれ以上なく美味い味だった。グルメス王の罪は許されるものではないが、心を入れ替え償っていくことになるのだろう。



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