ドラゴンボールGT 悟空外伝!勇気の証しは四星球~最終回 戦闘力


 -概要-

 ドラゴンボールGTスペシャル「悟空外伝!勇気の証しは四星球」は、1997年3月26日放映。本編第41話(第30回天下一武道会)と第42話(超17号編開始)の間に挿入された1時間SP。「DBGT-DRAGON BALL GT DVD BOX~DRAGON BOX」のスペシャルディスクに収録。

 ベビーから邪悪龍―『ドラゴンボール』全ての戦いが終わり、100年の月日が流れた。110歳になったパンの家族には、孫悟空という名の玄孫(やしゃご:孫の孫)がひとり。見た目は小さい頃の悟空か悟天そっくりで、臆病で内気な性格は小さい頃の悟飯にそっくり。悟空一家の全てを受け継いで生まれてきたような二代目孫悟空の、小さな大冒険が始まる。大好きなパンばあちゃんの病気を治すために、伝説のドラゴンボールを求めてパオズ山へ。妖魔王との戦いの中で目覚めた力は、紛れもなくサイヤの血筋を示す黄金の輝きだった。

 第64話(最終回)後半がその後のエピソードとして描かれており、GTの物語を締めくくる。この孫悟空Jr.というキャラクターは、いわば読者・視聴者の分身とも呼べる存在だろう。誰でも心一つで『孫悟空』になれる。『ドラゴンボール』である初代悟空が見守ってくれている。DRAGONBALL GT means -Goku:Together-. "Goku will be together with you forever!" DB集大成「GT」とは、全てのドラゴンボールファンに送られた励ましのメッセージなのだ…!?




-悟空II世伝- 紫数字:完全推定数値

*「神と神」が制作される前に考察した初期案。ドラゴンボール超を経た場合は未知数。ここでは悟空たちがビルスに出会わないままGTの時代を迎えたという前提で話を進める。(もしくは「神と神」までは経たが、ゴッド吸収が定着せず『復活の「F」』以降には繋がらなかったという前提も可)

GTメンバー集合

 地球に再び平和が戻り
 みんなでワイワイ騒いだあの日

 あれから100年の月日が流れた
 あのころのみんなはもういない

 ただひとりを除いては―



パン 560(常人レベルに気を抑えた戦い方)
〔→7億9000万(基本最大)
15億8000万(老婦の怒り?)

 110歳(もうじき111歳)のパンばあちゃん。老婆というほどの衰えはなく、背筋も足腰もしっかりしている。長ズボンにシューズ、パーカージャケットにチューリップハット。かけたサングラスは亀仙人を思わせる。「あの頃のみんなはもういない」。亀仙人やポポ、カリン様など不老(に近い)者はさて置くとして。GT本編を生きたサイヤ人の血縁は、100年後の世界ではパンひとりを残すのみとなっているようだ。パンはサタンシティで玄孫(孫の孫)の悟空Jr.と二人暮らしの様子で、他に家族は見られない。悟空Jr.から見ると、パンは高祖母にあたる。曾々(ひいひい)ばあちゃん。

 この100年の内訳は、平均すると以下のようになるだろうか。

・15年後 パン、25歳で結婚、出産。
・40年後 パンの子、25歳で結婚、子供をもうける。
・65年後 パンの孫、25歳で結婚、子供をもうける。
・90年後 パンの曾孫、25歳で結婚、子供(悟空Jr.)をもうける。
・100年後 パンの玄孫=悟空Jr.、10歳。パンばあちゃんと二人暮らし。

 各結婚年齢に多少の誤差はあるとしても、この範囲内には間違いなく収まる。現在、パンの子は85歳、孫は60歳、曾孫は35歳前後。じゅうぶん生きていられる年齢だ。それぞれ兄弟がいれば一族はもっと多くなっていておかしくはないのに、パンは玄孫と二人暮らし。悟空Jr.の両親(パンの曾孫夫婦)が何らかの理由で夭逝したのだとしても、一族全滅とは逆に考えにくい。たまたまパンが悟空Jr.を引き取ることになっただけで、せめてパンの孫の代は親戚として残っているだろう。

 パンの長生きの秘訣は、もしかすると超サイヤ人に目覚めていないことにあるのかもしれない。超サイヤ人は体に負担がかかる。日常に慣らした超1-4段階でさえ、やはり体への負荷は避けきれない。この100年は大きな戦いが起きず、パンは超サイヤ人に覚醒することなく今という日を迎えている。そう考えた場合、現在のパンの最大戦闘力は、超1-4覚醒レベル(最低 8億)の一歩手前。ある程度の修行は積んだと見て、7億9000万とするのがちょうどよいだろう。ただし、パンばあちゃんが最大パワーを発揮する場面はない。乙女の怒り(戦闘力倍加)という年でもない。普段は常人レベルに気を抑え、舞空術や気功波を用いることも控えているようだ。(歩いて足腰を鍛える? いざとなれば、亀仙人MAXパワーも真っ青のハッスルばあちゃんになることもありうるが)

 孫悟空Jr.の名付け親。悟空Jr.には特別の素質を感じ、悟空おじいちゃんのように強くあってほしいと願う。最近では悟空Jr.に修行をつけるようになったが、なかなか様にならず、内気で臆病な性格にも手を焼いていた。コテンパンにされたっていい。負けたっていい。正しいと思ったことを結果を恐れず全力でぶつかっていく心。悟空Jr.には本当の強さ、力の強さだけではない、勇気の強さというものを教えたかったのだ。心配が祟ったのか倒れ、サタンシティ病院にかつぎこまれ、一時は危篤状態に陥ってしまう。しかし、「孫悟空、初代の孫」の意地で病魔を跳ね除け、少したくましく成長した悟空Jr.と再会した。最終回の天下一武道会では、ベジータJr.の母に悟空Jr.の母と勘違いされ、110歳には見えない若さ(?)を示した。

 悟空Jr.にはドラゴンボールのこと、四星球がパオズ山の初代悟空の生家にあることを教えていた。ということは、100年経ち復活した四星球を見つけ出し、パオズ山まで持っていったのはパンなのだろうか。初代悟飯から初代悟空へ、初代悟空から二代目悟飯へ、そして時を経てパンの手に受け継がれた四星球。パンはいずれ悟空Jr.に受け継がせるために、四星球の置き場所をパオズ山に選んだのかもしれない。悟空Jr.におけるパンばあちゃんは、初代悟空における初代悟飯(孫悟飯じいちゃん)のような関係だ。


悟空Jr. 10(通常時)120(瞬間的な潜在能力発現)500(超1-4)

 「孫悟空」の血と名前を受け継ぐ少年。孫悟空Jr.(ジュニア)。二代目孫悟空。パンの玄孫(げんそん/やしゃご:孫の孫)。初代悟空の昆孫(こんそん:孫の孫の孫)。年齢は10歳前後かと思われる(初代悟空基準なら12歳、悟天基準なら7歳)。瞳は初代悟空よりも大きく描かれ、潤むと青みがかった黒目になる。「青い瞳」が高祖父(パンの夫)譲りのものだとしたら、それは一体誰なのか? パンに舞空術を教えてもらう約束をした漁師の息子ビッシュの瞳は青かった。トランクスの瞳も青い。悟空Jr.にはベジータの血筋も混じっている、という可能性も全くのゼロではない。

 両親を早くに亡くしたのか、サタンシティの小さなカプセルハウスにパンと二人暮らしをしている。学校に通っており、オレンジスターハイスクールの隣にあるサタンシティ小学校の児童。(オレンジスターハイスクールと同じような校章のバッジ。星マークの中に「J」の文字。「junior school」の「J」だろうが、校門には「SATAN CITY PRIMARY SCHOOL」と掲げられている。「elementary/primary school」は小学校全般、「junior school」はイギリスの上級小学校を指す)

 パンには生まれた時に「孫悟空」の名を継ぐに相応しい素質があると直観されている。確かに体は恐ろしく頑丈。岩壁にめり込むくらいの勢いで激突しても平気で、妖魔王の大砲直撃にも耐える。まるでステンレスのように硬い体。戦闘力は通常時で、初登場時の初代悟空と同等にはあるだろう。しかし、運動神経や反射神経はいまいちで、バランス修行はおろかキャッチボールもまともにできない。どういうわけか内気で臆病な性格に育ってしまい、自分の潜在能力を深く深く封じ込めていた。(悟空にそっくりなところといえば、外見と「腹減った」という台詞。パンばあちゃん手製のハンバーグが大好物)

 パンには勇気が足りないといわれたが、病気で倒れた大好きなパンばあちゃんを助けるために一念発起。初代悟空の生家にあるというドラゴンボールを求め、恐ろしい化け物が棲むパオズ山に足を踏み入れる。気合を入れるために頭に巻いた赤い鉢巻は、バーダックの子孫であることも示しているかのようだ。パオズ山への道中、クラスのいじめっ子パックと次第に仲良くなり、悪友めいた関係を気付いていく。パックから教わった「親切なヤツほど信用できない」という用心深さで、山姥マンバの計略を見破った。だが、吊り橋で宙吊りになり、縄を放してパックの手を掴む勇気を出せなかったばかりに、パックが谷に落下。子熊が蛇妖怪ゲットーの餌食になりそうになった時も、怖さのあまり見捨てて逃げようとした。

 一方で勇気を出したい、自分を変えたいという想いも強く、足を止めてゲットーと子熊のもとへ走り戻る。ゲットーに頭から丸呑みされそうになると、潜在能力が発現してゲットーを遠くに吹っ飛ばした。潜在能力の発現の仕方は悟飯と似ており、ピンチに陥った際や感情が激しく高ぶった時に力が爆発する。強い決意を秘めると、気が黄色くスパークするのも特徴。パオズ山への道を塞いだパックの子分を退かせている。森で狼の群れに襲われた時は、高い木の上にジャンプして、気付いたら降りられなくなっていた。マンバに殺されかけた時は、気絶から目覚め瞳が緑色に変化し、右手から軽い気功波を放った。瞬間的な潜在能力発現は、常人レベルに気を抑えた戦い方(5~60)の倍で、10~120の戦闘力とするのがよい。ゲットーを退けた後、いよいよ大ボス妖魔王との対決となり、潜在能力が超サイヤ人変身として発現した。

「もう誰も傷つけさせない。僕がみんなを守るんだ!」

 妖魔王を退治した時の戦闘力は、超サイヤ人とはいえ“億越え”には達していないだろう。せいぜい、通常時の戦闘力 10の50倍、500程度がいいところだと見受けられる(初期の悟天同様、舞空術も使えない)。変身段階でいえば超1-4、「超サイヤ人1フルパワー(第四段階)」であり、気を抑えたままでも超化を保てる状態。悟空Jr.はもともと悟天のように自然と超1-4変身を体得しており、性格的な問題で気付かなかっただけだろう。たまたま潜在能力発現にあわせて超1-4に切り替わったのであり、怒りをきっかけとする超1-1変身ではない。悟空Jr.の潜在能力はまだまだ眠った状態で、超1-4変身も同様にパワーが低いのだと推測できる。また、悟空Jr.の超サイヤ人はオーラが黄色くスパークしているが、超2の青白いスパークとは異なる。これは悟空Jr.特有の、潜在能力発現時におけるスパークと考えたほうがいいだろう。

 妖魔王を倒した悟空Jr.は、超化している時のことは憶えていなかった。ともかく朽ち果てかけた初代悟空の生家に四星球を見つけ、パンとパックを助けてくれるように願う。しかし何も起こらず、悟空Jr.は途方に暮れる。パンの話をゲームしながら話半分に聞いていたせいだろう。神龍のことは知っていても、神龍を呼び出すにはドラゴンボールが7つ必要であることまでは知らなかったのだ。そこへ大人の姿の初代悟空が現れドラゴンボールのことを説明される。だが、ドラゴンボールはもう必要なかった。パンもパックも無事だった。悟空Jr.はドラゴンボールのおかげと思ったが、初代悟空はそれは違うと言う。みんな悟空Jr.の勇気のおかげだと。初代悟空の姿は消えていたが、悟空Jr.の手には四星球が残っていた。

「ぼく頑張るから、見ててね悟空おじいちゃん」

 受け継がれた四星球は、初代悟空がもたらしたものではなく、悟空Jr.自身が育んだ勇気の証し。『ドラゴンボール』、すなわち、願いを叶える力は誰の心にも必ず秘められているという象徴なのだ。


パック 2.89

 サタンシティ小学校に通う悟空Jr.の同級生。黒茶色の髪で小太りの少年。ヤムチャの子孫、かどうかは定かではないが、声はヤムチャと同じ古谷徹。髪型はちびトランクスとは逆サイドから分けたもの(悟天に対するちびトランクスのような位置付けか?)。授業中に紙飛行機を飛ばしたり態度が悪く、子分ふたりを引き連れており不良めいている。悟空Jr.いわく「とっても強い」いじめっ子。戦闘力は2(10歳の子供)+0.89(パック)とするのがちょうどよい。

 パンとは顔見知り。イダーサそっくりの不良グループとのケンカの最中、持っていたバットを取り上げられた。「ケンカは素手でやるもの」と言いつけられ、パンのことは「怖いけどいい人」と尊敬しているようだ。そんなパンから修行を受けている悟空Jr.のことが気になったのか、ちょっかいを仕掛けてみたのだろう。悟空Jr.からお気に入りのスペースシャープペンシルを奪い反応をうかがうが、とんだ腰抜けでその場は去る。翌朝は悟空Jr.の登校を邪魔しに現れるが、悟空Jr.は学校ではなくパオズ山を目指して出かける途中だった。凄んで立ち塞がるも、ドラゴンボールでパンを助けたいという悟空の決意は強く、怯まずに隣を通り過ぎていく。

 そんな悟空Jr.を助けてやりたいと思ったのか先回りし、つれない素振りを見せながらも協力する。トラックの運転手に食糧や着替えを奪われてしまった悟空Jr.のために、ド派手にコンビニ泥棒&逃亡犯。その悪知恵と行動力は、いい意味で悟空Jr.に刺激を与え、二人はいつしか打ち解けていった。奪い取ったシャープペンシルを返し、森で狼に取り囲まれた時は焚き木で振り払い、悟空Jr.を逃がそうとする。山姥マンバの家では、大鍋をひっくり返して煮え湯をマンバに浴びせ、悟空Jr.を拘束するマンバの髪を切断。吊り橋まで逃げ延びるが、切れかけた吊り橋から悟空Jr.を助けようとして、深い谷底に落下してしまう。安否が気遣われたが無事に保護されており、最後には警察のフライヤーで悟空のもとへ戻ってきた。

 本編最終回では、パンや子分とともに天下一武道会を観戦(自分は出場しなかったのか)。少年の部決勝進出を果たした悟空Jr.を応援するとともに、悟空とパンの血筋を初めて知って驚いている。伝説の英雄、孫悟空とミスター・サタンのことはもちろん、パンの名も悟空初代の孫として聞き知っていたらしい。「あの弱虫悟空が道理で強くなったわけだ」と納得しており、悟空Jr.を男として親友として認めたのだろう。


子分A 2.2
子分B 1.8


 サタンシティ小学校に通う悟空Jr.の同級生。パックの子分。本名不明(子分A・BはEDクレジットから)。子分Aはメガネでヒョロッとした、キツネ色のオカッパ髪をしたまさにキツネという感じの小ズルそうな少年。体は細いがそれなりにケンカ慣れしているようで、平均的な10歳児(戦闘力 2)より多少は強いだろう。子分Bは黒髪にキャップを後ろ前にかぶった少年。小柄で平均的な10歳児より弱そうだが、素早さはありそう。イタズラっぽい時のクリリンの目(ヤジロベーのような目)をしており、子分Aをキツネとすればこちらはタヌキか。

 パンから「怪しげな特訓」を受ける悟空Jr.をからかい、パオズ山に行こうとする悟空Jr.の前にも立ちはだかった。しかし、決意を秘めた悟空の気がスパークし、子分A・子分Bともにビックリして道を開けている。本編最終回では、親分パックとともに天下一武道会を観戦、少年の部決勝進出を果たした悟空Jr.を応援。悟空やパンの血筋を知って驚く場面がある。悟空Jr.とはもう友達で、いじめっ子は卒業しているだろう。憎らしい子分Aも子分Bも、付き合ってみると案外いいヤツだったりするのかもしれない。


トラックの運転手 5

 髪もヒゲも手入れされていない小汚い太った中年オヤジ。「BULL」と書かれたキャップをかぶっている。運転する大型トラックのダッシュボードやカーテン奥の仮眠室にはゴミが散乱しており、不潔もいいところ。トラック荷台には「MocMaS」というロゴとハンバーガーの絵、トラック前面には「HARAPEKO」の文字がある。(「MocMaS」というファーストフード店の運送屋で、トラックのメーカーが「HARAPEKO」なのだろう)

 ルート59で行き倒れそうになっていた悟空Jr.に会い、パオズ山まで乗せてと頼まれ、トラックに乗せてやった。だが、頬張っていたハンバーガーで食糧が尽きたのか、悟空Jr.の荷物を横取りしようと考える。悟空Jr.をいったん降ろして用を足させている隙にリュックの中身を全部出すと、リュックを投げ捨て去っていった。パックいわく「親切なヤツほど信用ならない」。ひどい大人だが、悟空Jr.にとってはひとつの社会勉強になった。戦闘力的には、ラディッツに殺された農夫と同程度だろう。戦闘力たったの5、社会のクズめ?


人喰い狼 34

 パオズ山近くの森に生息する狼。夜の森で野宿する悟空Jr.とパックを襲った。一匹の戦闘力ならば常人女性以下だろうが、鋭い牙で群れをなして襲ってくるのが厄介。パックの振るう焚き火を物ともせず食らいつき、悟空Jr.の潜在能力が一瞬発現するほど追い詰めた(悟飯が肉食恐竜に追い詰められた時のように、高い木のてっぺんにジャンプして降りられなくなる)。だが、人間に化けた山姥マンバの撃った猟銃の音には驚き、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 原作其之二「球(ボール)がない!!」、アニメDB第2話「あらららー!タマがない!」に登場した狼と同種か? 「このパンてやつスカスカしてうまくねえ。オラがもっと力(りき)のつくうめえもん食わせてやる」と悟空がブルマに言って捕まえてきたのが、狼とムカデ。悟空は丸焼きにして食べたがブルマは拒否。アニメの狼は龍ヶ谷(りゅうがだに)という名前の谷に群れで登場し、悟空・シュウ・マイを襲った。龍ヶ谷は一度足を踏み入れたら二度と戻れないといわれた恐ろしい谷で、時折不思議な光が見られた。シュウとマイはその光がドラゴンボールだと思ったのだが、赤く光っていたのは闇夜に輝く狼の目だった。


子熊 3

 パオズ山に棲む子熊。咽頭部に月輪熊のような斑紋(オレンジ色)がある。蛇妖怪ゲットーに食べられそうになり、逃げてきたところに悟空Jr.と出会った。助けを求めるように悟空Jr.を見つめると、悟空Jr.はいったんは怖がって凄い勢いで走り去ってしまう。だが、勇気を出して引き返してきた悟空Jr.に救われ、ケガをしていた左腕に包帯を巻いてもらった。自分に勇気が足りなかったばかりにパックを死なせてしまったと嘆く悟空Jr.の涙を舐め取り、慰める。

 人間の言葉が理解できるのか(話すことはできなくとも)、またドラゴンボールの在り処を知っていたのか。現れた父熊に事情を説明して、悟空Jr.をドラゴンボール(四星球)のある初代悟空の生家まで案内した。妖魔王の襲撃を受けた際は、悟空Jr.に抱えられて逃げるものの、父熊のピンチに駆け戻ってしまう。父子ともども妖魔王の餌食となりそうになるが、悟空Jr.の怒りが爆発して超サイヤ人変身を引き出すに至る。超化が解け意識を失った悟空Jr.の頬を舐め目覚めさせると、四星球に願をかける悟空Jr.を静かに見守った。


父熊 6.5

 パオズ山に棲む熊。性別は不明だが、声からするとオス。子熊の父親だろう。咽頭部の斑紋は薄茶色。初めは子熊を手当てする悟空Jr.を敵と見て大きく威嚇して現れたが、子熊から事情を聞いておとなしくなる。恩返しに、悟空Jr.を背に乗せてドラゴンボール(四星球)のある初代悟空の生家へ連れて行ってくれた。助けた熊に連れられて、龍球求めてきてみれば、妖怪たちが待っていた。おまけに妖魔王まで出現。父熊は勇敢にも妖魔王に戦いを挑み悟空Jr.と子熊を守ろうとするが、戦闘力に差がありすぎた。パオズ山の熊は、本編初登場時の初代悟空(戦闘力 10)に倒される程度の強さなのだ。(「熊はこの前食ったしなあ」。山賊やプテラノドンのように、戦闘力では常人よりちょっと強い程度だろう)

 勇敢さを加味し、山賊やプテラノドン(戦闘力 6)よりは強いものとしても、サタン(6.66)には届かないものとした。6.5という数値は、サタンを除けば常人レベル最高の戦闘力だ(金髪ランチさんや強力のピロシキと同等)。明らかに常人レベルを逸した妖魔王には殺されかけてしまうが、懸命に戦う姿が悟空Jr.の心に響く。悟空Jr.の超サイヤ人変身を引き出し、妖魔王を退治する結果となる。ケガも舐めれば治るほどの軽傷で済んだ(悟空Jr.は妖魔王を倒した時のことを憶えておらず、熊の親子が何とかしてくれたものと勘違いした)。後は子熊と一緒に、悟空Jr.が四星球に願かけするのを静かに見守った。


マンバ 40

 パオズ山近くの森に館を構える山姥(やまんば、にしては若い)。美しいが本性は残忍な人喰い妖怪。変身、髪を生き物のように自在に操る、空中から包丁や鎌を出現させる、などの特殊能力を有している。ピラフのようなモンスター型地球人か、シュラ(アニメDB第81話)のような(地球周辺の)魔界出身の魔族か。髪と肌の色はヘラー一族・ボージャック一味のザンギャ(「銀河ギリギリ」)に似ているが、特に関係ないだろう。若い女性に化けて(パックにはオバサンと呼ばれたが)旅人に親切にし、館に泊めて寝込みを襲う。外では動きやすいシャツ・ベスト・ロングパンツ、館では占い師か魔女のような格好をしている。

 人喰い狼の群れを猟銃で追い散らし、悟空Jr.とパックを助け館でご馳走を振る舞った。あまりに親切にしたためかえって悟空Jr.に疑われ、正体に感付かれ逃げられるが、しつこく追跡。館の中はカラクリ屋敷になっており、階段踊り場の床から悟空Jr.とパックを階下に突き落とす。階下は獲物を煮炊きする大鍋の部屋で、自在に伸縮する髪の毛に悟空Jr.を拘束して料理しようとした。しかし、悟空Jr.の潜在能力が発現し、軽い気功波のような衝撃波で壁まで吹っ飛ばされ気を失いそうになる。そこへパックがひっくり返した大鍋の煮え湯が迫り、慌てて飛びのいたものの身動きが取れない。髪で悟空Jr.を拘束したままだったが、パックに鎌で髪の毛を切られて今度こそ逃げられてしまう。

 翌日には仲間の鳥妖怪ラッカル・蛇妖怪ゲットーを伴い、悟空Jr.を初代悟空の生家前で待ち受けた。パックに切られた髪をショートヘアにアレンジし、緩やかなズボンに胸当て装備の戦闘スタイルでの登場だ(悟空Jr.の瞬間的な潜在能力発現には吹っ飛ばされたものの、ダメージ自体は少ないように見える。戦闘力はとりあえず地球人一般女性の10倍とした。40もあれば一般人からはじゅうぶんに化け物)。「髪は女の命」と怒りに燃えるが、ラッカルに「ショートカットも可愛い」と言われてつい照れる。また逃げられそうになり猛追跡するが、パオズ山の主・妖魔王の出現に恐れおののき、後は傍観者となったのみ。妖魔王が悟空Jr.に倒されたことで、今度は自分たちが尻尾を巻いて逃げ出す羽目となった。


ラッカル 45

 パオズ山に棲む鳥妖怪。ニワトリのようだが両腕(翼)を広げて大空を自由自在に飛び回る(名前の由来は仏教の迦楼羅〔カルラ〕だろう。ドラクエにも登場するインド神話の神鳥「ガルーダ」が前身)。変身術も得意。マンバの館の壁掛けランプに化け、獲物(悟空Jr.とパック)の独り占めはよくないと姿を現した。マンバに惚れているようで、髪を切られて怒りに燃えるマンバに「ショートカットも可愛い」と褒める。逃げる悟空Jr.(舞空術が使えない)を低空飛行で追い詰めるが、妖魔王の出現で後は見守るだけ。妖魔王が倒されたことで逃げ帰る。戦闘力はとりあえずマンバ(40)とゲットー(50)の中間とした。


ゲットー 50

 パオズ山に棲む軟体蛇妖怪。丸々と太った体は、多少の衝撃ならダメージを受けることなく吸収してしまう(名前の由来はヘビ→爬虫類→トカゲ→ゲトカ→ゲト→ゲットーだろうか。意表をついて鳥蛇ケツァルコアトル??)。マンバの館では床から泥のように染み出てきており、体をさらに軟らかい液状質に変化させられるようだ。実際の蛇同様にアゴが大きく開くようになっており、自分以上の大きさの獲物を丸呑みすることができる。子熊を食べようと追いかけてきて悟空Jr.と遭遇し、こっちのほうが美味そうだと頭からかぶりついた。

 だが、悟空Jr.の潜在能力が発現したことで、気の衝撃でスポーンと空の彼方へ吹っ飛ばされてしまう。軟らかい体のおかげで無傷で済み、マンバ・ラッカルと合流して悟空Jr.を初代悟空の生家前で待ち受けた。悟空Jr.のことをタダのガキじゃないと思っていたが、まさか妖魔王まで倒されるとは思いもよらず、逃げ帰る。戦闘力はとりあえず地球人一般男性の10倍としたが、背中の2本の剣同様にあまり使い道がなかった。


妖魔王 130

 パオズ山の主(ヌシ)を名乗る巨大な猪妖怪。マンバ・ラッカル・ゲットーが悟空Jr.にてこずるのを見かね出現。気功系の技を使うことはできないが、巨体のパワーに加え、両腕を様々な物に変化させて敵を翻弄する。現れるや否や右手を大砲に変化させて悟空Jr.を撃ち抜いた。手ごたえありと感じ、王者の風格を漂わせる。だが悟空Jr.がつぶれずに起き上がってきたのに驚き、爆風のような鼻息攻撃を繰り出して追い討ち。吹っ飛んで岩壁に激突した悟空Jr.に歩み寄り、巨大な足で踏みつぶし一気にとどめを刺そうとした。

 父熊の体当たりとしがみつきに邪魔されるも、右腕を金棒に変化させてたたき落とし、振り払う。悟空Jr.と子熊を踏みつぶそうとしてまたしても父熊に阻まれるが、直接の左パンチで殴り飛ばす。それでも立ち上がってくるうっとうしい父熊を、左裏拳から右ひざ蹴りで宙に浮かせ、左手で首根っこを掴む。首根っこだけに掴んだ左手を木の根っこに変化させ、空いた右手を湾刀に変えてとどめを刺しにかかる。引き返してきた子熊も一緒に料理してやろうかとにらむが、悟空の超サイヤ人変身を引き出してしまう。みぞおちにパンチ連打。頭部に左蹴り。右膝裏に左蹴り。右側頭部に右肘打ち。アゴに右アッパー。超サイヤ人となった悟空の怒涛の連続攻撃を受け、よろめいて倒れるが、まだ立ち上がる余力はあった。

 この時点での超サイヤ人悟空は、潜在能力にほんのちょっと目覚めたばかりの戦闘力 500程度。もし超1-4フルパワー、すなわち戦闘力数百億以上もの攻撃をたたき込まれたならば、一撃粉砕されただろう。熊に怯む妖魔王の戦闘力は、最初期の大猿悟空(100)あたりか(ヤムチャ〔8.6〕でも大猿悟空を抑え込める)。いや、超1-4悟空(500)の猛攻に耐えたことを評価し、もう少し水増ししてもよさそうには思う。若返ったピッコロ大魔王(260)の半分とし、パワーだけなら初登場時の亀仙人(120)を超えると定めよう。戦闘力 130の妖魔王は、だが、超1-4悟空に左頬を右ストレートで打ち抜かれ、壁に激突、落下。崩れた岩に半分埋まり、「貴様、な…何者だ」と言い残して気絶した。(意識を失っただけで絶命はしていまい)


〔デンデ 2000(最大)

 100年後の世界には姿を見せていないが、ドラゴンボールがある以上、地球の神として確実に存命している。すでに130歳を超えているはずで、地球人としては高齢だが、ナメック星人としてはまだ「若者」の部類だろう。カタッツの子が善と悪に分離した時点で200歳前後。神もピッコロ大魔王は、その頃は若々しいパワーに溢れていた。ナメック星人であるデンデも当然若いまま。おろらく外見はGT本編とあまり変わるまい。(貫禄がついた程度?)


〔ピッコロ 2800億(重り)3500億(重りを外す)

 地獄の番人、ピッコロ大魔王ならぬピッコロ大冥王と君臨しているであろう100年後のピッコロを想定。100年前、生前の最大戦闘力 280億では、超17号編の超完全体セル(2400億)には太刀打ちできない。ピッコロが大冥王として地獄を完全統率するには、最低でもそのセルを超える必要があったのだ。大全集に記されたナッパ戦時のピッコロの戦闘力 3500(最大瞬間としても疑問が残る数値)をここであえて採用。それを億倍してピッコロ大冥王の最大戦闘力と定めたい。重りを着ければ約2800億。生前の最大数値の10倍だ。

 この数値ならば、ブロリーが相手でも「伝説の超1」レベル(1575億~3150億)までなら対応可能。もしブロリーが伝説の超3(1兆2600億以上)になったとしても、修行を重ねるパイクーハンらあの世の達人がいる。そして、死後肉体を得て天界に招かれたアルティメット悟飯の協力を得ることもできるかもしれない(邪悪龍が地獄に落ちていたらさすがに厄介だが、ドラゴンボールの化身という性質上それはなさそうだ?)。ピッコロを初めとするかつてのZ戦士・GT戦士たちの活躍で、あの世とこの世の秩序は守られていくことだろう。

 なお、ドラゴンボール超のピッコロは、フリーザ復活編では弱体化した超1悟飯未満の強さだったが、宇宙サバイバル編ではかつての力を取り戻した超2悟飯をも上回るパワーを身に着けており、アルティメット悟飯の隙を突くこともできる。



-超悟空II世伝 究極の超サイヤ対決編- 紫数字:完全推定数値

天下一武道会アナウンサー(兼 審判) 5

 本編第64話(最終回)、100年後の世界に登場。短く逆立った銀髪、パリッとしたグレーのスーツ、シャープなサングラスで決めたクールなアナウンサー。悟空たちの戦いの歴史を知る、あの天下一武道会アナウンサー(兼 審判)の子孫ではないかと思われる。マイクを宙高く放り投げ後ろ手に受け止めるパフォーマンスなど、魅せ方盛り上げ方は先祖を超えた? 悟空Jr.が初代悟空とミスター・サタン、伝説の二大英雄の子孫であることを決勝前に大々的に発表した。

 100年後に開催された天下一武道会の正式な回数は不明だが、順当に(3年ごと開催)いけば第63回を数える(GT本編の第30回に、99年間で+33回。1年余るが、邪悪龍編の爪あとから復興し会場を建て直す期間とできる。第31回大会は第30回の4年後に開催され、その後は順当に3年のペースで開催されていったものとする)。開催地はパパイヤ島の武道寺には間違いないだろう。会場は全天候型のドームに進化している。また、第30回の時点では「子供の部」だったのが、それ以前の「少年の部」に戻っている。


悟空Jr. 10億(基本最大)500億(超1-4)

 スペシャル「悟空外伝」から数ヶ月後(?)、本編第64話(最終回)での孫悟空Jr.。天下一武道会少年の部に出場し、決勝進出を果たすほどに成長を遂げている。パンが保管していた初代悟空の道着を着用し、名実ともに二代目「孫悟空」を襲名した。多少緊張しており、自分に「勝てる、勝てる」と言い聞かせて心を落ち着ける。ベジータJr.に汚い道着だと罵られても臆することなく、「汚くない、ちょっと古いだけ」と言い返した。

 数ヶ月前、初代悟空に「オラ、ウズウズしちゃったぞ」と言われた潜在能力は全て引き出されているだろう。気(戦闘力)のコントロールを習得し、超1-4変身レベル、億単位の膨大なエネルギーを自在に使いこなせるはずだ。急激にパワーアップしたというよりは、勇気と自信を得たことで元々持っていた力を表出できるようになっただけ。その数値は「悟空外伝」における 10(通常時)→500(超1-4) を億倍したものがちょうどよい。ベジータJr.とは、悟天vsトランクス(基本:8億→超1-4:400億)の再現、いや、それを超えた戦いを展開した。(オーラのスパークの色は以前の黄色から青白く変化したが、変身の直後だけに留まっている。やはり超1-4止まり)

 悟空の名、悟飯同様の潜在能力開放、悟天の性格、バーダックのような赤い鉢巻。孫一族の全てを受け継いだ二代目孫悟空は、すなわちドラゴンボール読者・視聴者の心の象徴だ。その設定・概念を一歩推し進めたのが「ドラゴンボールオンライン」の世界といえるだろう。エイジ1000。GT 100年後の世界、エイジ890からさらに110年(GTの延長上にはないかもしれない世界だが)。プレイヤーは人間・ナメック星人・魔人となり、ドラゴンボール世界の新たな主人公となることができるのだ。(ドラゴンボールオンラインは2013年10月末をもって全てのサービスを終了。日本国内では開始に至らなかった。代わりに、DBオンラインの設定を一部受け継いだ「ゼノバース」「ゼノバース2」がエイジ850~852を舞台に展開されている)


ベジータJr. 10億(基本最大)500億(超1-4)

 ベジータ直系の子孫。魔人ブウ編のベジータをそのまま小さくしたような姿の少年。膝上スパッツ。「たったひとりの最終決戦」に登場した5歳のベジータには前髪があったが、このベジータJr.にはない。本編での名称は不明。「ドラゴンボールGTパーフェクトファイル vol.2」にも「ベジータの子孫」とだけある。ベジータJr.の名はカード媒体が初出(ドラゴンボールGT激闘編ウェエファーチョコNo.414)。悟空Jr.のように本当に二代目「ベジータ」を襲名したのか(いや、正確には三代目ベジータか? 「ベジータ」の名はベジータ王から継承されるサイヤ人王家の血筋の証。「ドラゴンボールGTパーフェクトファイル vol.1」では、トランクスも本来ベジータの名を継ぐべき王子だとある)。あるいは便宜上の呼び名に過ぎず、本名(やっぱり下着系列?)が別にあるのかどうかは分からない。

 性格はちびトランクスと同じで生意気。ノリが軽く、自分と同じく超サイヤ人変身できる悟空Jr.に大して驚かなかった。GTブラのようにファッションにうるさいのか、悟空Jr.の道着が汚いと罵りもした。超サイヤ人のことを「金髪」と呼ぶ。天下一武道会少年の部決勝、悟空Jr.との勝敗は不明。観客の「あっちの子が勝ったぞ」という台詞のみ。悟天とトランクスではトランクスのほうがやや強かったが、悟空Jr.とベジータJr.は互角としていいだろう。勝負は時の運。拮抗した戦い、勝利の女神が微笑んだのはどちらか。答えを知るのは我々の「魂」だ? 戦い方や気の使い方は誰に学んだのだろうか? パンのような師匠がいる? 秘伝の書でも残されていたり?


ベジータJr.の母 4

 100年後の世界でのカプセルコーポレーションの社長。若い頃のブルマそっくり。髪型は未来トランクスの世界での、セル退治前後のブルマのショートヘアに似ている。パン(悟空Jr.の母親と間違えた)の隣に座り、当然のごとく「優勝はウチの子がいただく」と言い放った。カプセルコーポレーションのロゴマーク入りのイヤリングをしており、それでパンはブルマの子孫だと気付いた。腕時計型の携帯電話に会議の連絡が入るが、「これからいいところなのよ」と観戦を続行する。

 このワガママ強引さはブラ譲りにも見えるが、果たしてベジータJr.につながる血筋はトランクスかブラか? 無論、ベジータの直系により相応しいのはトランクスだろう。嫡流。嫡子、長子による正統なる系譜だ。だが、ブラからの血筋でも直系といって構わない。ベジータJr.がブラの直系の場合、トランクスがフリーになる。実はトランクスとパンの間にできた子の子孫が悟空Jr.で、パンがカプセルコーポレーションと疎遠になった原因―。というように想像を広げることができる。想像力のインフレーションがドラゴンボール世界をさらに豊かにするのだ。


悟空(初代) 0

 100年後の世界、サタンシティが一望できる見晴らしのいい高台、美しい花畑に大きな墓石が建っている。墓碑銘は「孫悟空」。パンは悟空おじいちゃんに祈りを捧げた後、悟空Jr.を修行することが日課になっていた。初代悟空は超一星龍との戦いで確かに命を落とした(0)が、魂はあの世には行っていない。この世にもない。7つのドラゴンボールを取り込んだことで、文字通り『ドラゴンボール』世界と一体化した存在となったのだ。それから100年。マイナスエネルギーが浄化されたドラゴンボールの復活とともに、初代悟空は帰ってきた。

 究極ドラゴンボールで小さくされた体は、究極ドラゴンボールに願うしか元に戻る方法はなかったはずだ(超サイヤ人4になった時だけその呪縛から解放され、大人の姿の超サイヤ人4になるともいわれている)。だが、悟空は(通常状態のまま)大人の姿に戻っており、究極ドラゴンボールの効果さえ受け付けない様子(悟空が生まれてから152~153年もの月日が経過しているが、もはやその肉体年齢は判別不能)。やはりパンの言った「神様みたい」な存在、『ドラゴンボール』の枠を超えた永遠(∞)の存在なのだろう。今の悟空はドラゴンボールの番人のようなもので、DBが正しく使われるよう人々を導く役目があるのかもしれない。(「神と神」で体現した超サイヤ人ゴッド、あるいはゴッド吸収状態に近い現象が再現されたものと考えることもできる?)

 DBでパンを助けようとしたが何も起こらず、四星球を投げ捨てた悟空Jr.の前に「オッス」と気楽に現れた。DBは7つ集めないとダメだと教えるとともに、悟空Jr.の勇気がDB以上に願いを叶える力となるのだと語る。本編第64話(最終回)では、悟空Jr.とベジータJr.の戦いを見届けると、天下一武道会会場を後にする。そして如意棒を手に空に舞い上がり、筋斗雲とともに空の彼方へと消えていくのだった。その姿に尻尾はない。(100年後の世界では、孫悟空の名はミスター・サタンに並ぶ伝説の英雄として語り継がれている)

 第4期ED「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」(歌:WANDS)では、尻尾の生えた大人悟空が登場する。如意棒を手にし、仲間たちのもとへ帰っていく悟空。ただし筋斗雲はなく、地に足をつけての歩み寄りだ。本編ラストの悟空には尻尾はなく筋斗雲がある。ED(エンディング)の悟空には尻尾はあるが筋斗雲はない。『ドラゴンボール』そのものとなった悟空と、ドラゴンボールの『主人公』としての悟空、その違いだろうか。『孫悟空』は様々な形で人々の心に刻まれ、受け継がれていくというメッセージとなっているのだろう。ドラゴンボールGT最終回の謎? 悟空が消えた意味を解説するとすれば、そんなところだ。



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